勝率1%からの逆転劇 【第31期銀河戦 本戦Hブロック11回戦】 藤井聡太銀河vs羽生善治九段

2023/10/28にYouTubeチャンネル「囲碁将棋プラス」にて無料プレミア公開された【第31期 銀河戦 本戦Hブロック 最終戦 藤井聡太銀河 vs 羽生善治九段】のハイライト解説をしていきます。棋譜利用の規定に基づき図面は1図、本譜の指し手10手までの掲載となります。

藤井聡太銀河は昨年度の優勝者として、予選免除で本選登場です。22年ぶりの銀河戦連覇に挑みます。

持時間各15分・切れたら30秒・他に10分の考慮時間あり。振駒の結果、藤井聡太銀河が先手になり、角換わり腰掛け銀の進行になりました。

107手目 羽生善治九段の勝率99%

こちらは107手目、藤井聡太銀河が▲9三玉と指した局面です。

持ち時間15分の早指しの勝負で、藤井聡太銀河が入玉を目指します。先手は4段目に歩が3枚、歩成から上部を厚くする手もあり一見先手玉が捕まらなさそうです。しかし、なんと現局面のAIの評価値は羽生善治九段の勝率99%。後手に勝ち筋がありました。

後手勝ちの一手 △7八成銀

ここで後手が△7八成銀と角を取るのが、後手勝ちの一手でした。

以下、▲9一成香に△7一角と先ほど手にした角で王手をするのが急所の一手で、先手玉に詰みが生じていました。九手詰です。△7一角に対して先手の持ち駒は歩しかありませんので合駒ができませんし(二歩になる)、▲9二玉は△8二金までの即詰みです。従って▲9四玉と逃げますが、△9三歩▲9五玉に△7七桂成が気持ちのいい開き王手で、▲8六玉△8五飛▲9七玉△8八飛成まで後手勝ちとなる変化がありました。

本譜の進行 △9二歩

本譜は△9二歩▲同玉と進みました。成香を取りつつ手順に王手をかける手が先手玉へプレッシャーになりそうなので、持ち時間が少ないのも考えるとこちらも魅力的な手に見えます。しかし、この手で羽生善治九段の勝率99%から藤井聡太銀河の勝率99%へ形勢が逆転しました。本譜では、後手は成香を取った後に△7八成銀と角を取りましたが、次の藤井聡太銀河の一手が強烈な切り返しでした。それは▲6三歩成です。△同金と取れるので一見タダの成り捨てに見えますが、金が移動すると△8二角成と先手玉が馬で守られる形となり、先手玉を詰ますのが困難になります。終盤力が凄まじい藤井聡太銀河は、相手玉の寄せだけでなく自玉の安全を確保する力も長けています。

以下、後手は△7四角と王手と金取りをかけていきますが、次の▲8三歩成が奇跡的な必至回避の一手で、先手玉の唯一の守り駒として働きました(▲8三歩成がなければ先手玉即詰み)。

121手で羽生善治九段が投了し、藤井聡太銀河が勝利しました。

まとめ

藤井聡太銀河と羽生善治九段、対局お疲れ様でした。藤井聡太銀河、勝利おめでとうございます。藤井聡太銀河の入玉形は珍しく、貴重な対局でした。また「角換わりは先手勝ち」と言われている中、持ち時間が少ない対局で先手の藤井聡太八冠を相手にここまで追い詰める羽生善治九段の指しまわしに感動しました。2023年6月に日本将棋連盟の会長に就任され、プレイヤーと会長職と両立される中、第一線でご活躍されている姿に心動かされます。第31期銀河戦で藤井聡太銀河が優勝した場合、22年ぶりの銀河戦連覇となるようです。今後の対局も見逃せません!

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